2023年12月20日、六古窯共創ネットワーク構築事業の一環として、六古窯各産地の作り手と、六古窯との連携に興味・関心のある企業の方々、約50名が丹波篠山市立杭地区へ集まり、産地視察とワークショップを実施いたしました。
<産地視察・ワークショップの主旨>
1:意欲的な事業者の皆さまが産地を超えて交流し、他産地の取り組みを学びあうこと。
2:事業者の皆さまが産地を超えて挑戦したいプロジェクトをともに考えること。
3:事業者の皆さまと連携したい地域内外の民間企業との接点を作ること。
前半のプログラムでは、丹波篠山市立杭地区で行われている「陶泊事業」を中心とした取り組みの紹介や窯元への視察時間を設け、後半のプログラムでは、他産地との交流と意見交換の場として、参加者から話したいテーマを募集しながらディスカッションを進めました。
<プログラム>
1:丹波立杭の文化庁事業取り組み説明 (Satoyakuba 田林氏)
2:産地視察 (最古の登窯 / 陶泊の宿泊施設:昇陽窯 / 窯元:ココチ舎、市野伝市窯、俊彦窯)
3:ワークショップ
<1:丹波立杭の文化庁事業取り組み説明:Satoyakuba 田林氏>
最初のプログラムでは、丹波篠山市を拠点に地域づくりのコーディネート事業を行っている「Satoyakuba(サトヤクバ)」の田林氏から、丹波立杭陶磁器協同組合の将来ビジョン策定に関する背景や意義、そして将来ビジョン実現に向けた「『陶の郷』を中核とした丹波焼の郷文化観光拠点計画」、「近世近代の丹波の歴史調査」、「陶泊プロジェクト」といった具体的な取り組みについてご紹介いただきました。
「長期滞在を通じ、産地の窯元と交流を深めていく取り組みを自分の産地でも取り入れられたら面白いと思う」「先駆者の方たちの話や具体的事例を聞くことができ参考になった」などと感想が寄せられ、観光や宿泊関連の取り組みに関心のある事業者の皆さまにとって学びのある時間となりました。
<2:産地視察>
産地視察では、立杭地区の街並みをグループに分かれて歩きながら巡り、最古の登窯、陶泊の宿泊施設(昇陽窯)、窯元(ココチ舎、市野伝市窯、俊彦窯)を訪れました。
丹波焼の歴史や特徴、陶泊事業の進め方、ギャラリーの運営について等、丹波の陶工を含めた事業者同士で活発な意見交換が行われ、産地の特徴を肌で感じることのできる産地視察となりました。
<3:ワークショップ>
これまで六古窯共創ネットワーク構築事業では、キックオフイベントやオンラインセミナーを実施してきたものの、当日参加された方々の大半が初めて顔を合わせるメンバーです。
ワークショップの冒頭では、自己紹介の時間と、それぞれの興味・関心を共有する時間を設けながら、お互いの考えていることをシェアし合い、参加者同士の理解を深めていきました。
会場の雰囲気が温まり、参加者同士の距離も近くなったところで、参加者からこの場で話したいテーマを募り、それぞれ興味のあるテーマに分かれて意見交換を行いました。
「後継者育成」や「土の枯渇問題」、「観光・インバウンド」にはじまり、「万博の活用方法」や「デザイナー等の外部人材との関わり方」について、「海外から陶芸家の滞在を既に受け入れていて、他産地へも案内をしたいが連携できないか」といった具体的な連携の話まで、さまざまなテーマが挙がり、産地や業種を超えて活発な議論が交わされました。
開催後のアンケートでいただいた声を一部ご紹介します。
「他産地の窯元さん、作家さんで課題意識がそれぞれに違ったことが発見でした。やきもの関連だけでなく、デザイナーの方などの視点からも話を伺うことで新しい視点の学びとなりました」
「個人で訪ねるよりも深く知ることができたので、産地間の交流の機会はもっと増えていくと良いと思いました」
「実際のお客様に陶泊や六古窯のことをどのように知ってもらうか、アプローチをしていくかの具体的な案や方法を考えていきたい」
「六古窯という枠組みから考えるのではなく、産地間の情報共有をしながら、各産地でボトムアップの取組をすることにより六古窯として点と点が結びつくのかなと思います。 各産地の底上げが今後の展開に繋がると感じました。」
参加者の皆さま、長時間にわたる視察とワークショップお疲れさまでした。それぞれの産地の状況にあった取り組みに生かせるよう、今後も産地や業種を超えた交流や意見交換の場を作りながら、六古窯の共創ネットワークづくりに臨みます。今年度の取り組みに関する振り返りと、今後の活動に向けての意見交換の場を2月に予定していますので、どうぞお楽しみにお待ちください。