https://livingculture.lixil.com/ilm/see/exhibit/imperialhotel_brickfactory/
アメリカの建築家フランク・ロイド・ライト(1867-1959)の代表作の一つとして知られる帝国ホテル旧本館(ライト館)は、大谷石とやきものによる建築素材で覆われていました。使われたやきものの数は400万個以上。設計にあたり、ライトは帝国ホテル側にさまざまな要求をしたといわれています。焼き上がりは赤でなく黄色であること、煉瓦表面に入れる縦の溝が綺麗に揃っていること、複雑な形状のテラコッタをつくること……。
膨大な数と高度な造形の要求に挑み応えたのが、愛知県常滑の職人たちです。
六古窯に名を連ねる常滑は、良質な土や海に面した地の利を活かし、平安末期からやきものづくりが発展してきました。その環境に加え、ライトが望んだ色合いに焼きあがる粘土が知多半島で採れたことから、1917-21(大正6-10)年、帝国ホテル旧本館の煉瓦とテラコッタを製作するためだけに、直営工場「帝国ホテル煉瓦製作所」が常滑に設けられます。職人たちは研究と試作を重ねながら、高い品質でやきもの製の建材の生産に応えました。ライトの理想を具現化した煉瓦やテラコッタで彩られた帝国ホテルは、1923年に落成。名建築としてその美しさを国内外に誇ったのです *。
竣工から100年目を迎えた今年、ライトのデザインに挑んだ常滑の職人とその技に光を当ててご紹介します。
*帝国ホテル旧本館は1967(昭和42)年、設備の老朽化などから解体されましたが、その玄関部分は博物館明治村(愛知県犬山市)で復元され、食堂の柱の一部(所蔵:博物館明治村)は当館「建築陶器のはじまり館」でも常設展示されています。
○会期
2023年10月21日(土)~12月25日(月)
⇒ 2024年5月14日(火)まで会期延長
○会場
INAXライブミュージアム「窯のある広場・資料館」2階
○休館日
水曜日(祝日の場合は開館)、12月26日(火)~2024年1月4日(木)
○観覧料
共通入館料にて観覧可 (一般:700円、高・大学生:500円、小・中学生:250円)
○主催
INAXライブミュージアム
○企画
INAXライブミュージアム企画委員会
○会場グラフィック
宗利淳一デザイン
The former main building of the Imperial Hotel, known as one of the masterpieces of American architect Frank Lloyd Wright (1867-1959), was covered in architectural materials made of Oya stone and ceramics. Craftsmen in Tokoname, Aichi Prefecture, took on the challenge of meeting the demands for a huge number and sophisticated shapes. This year, which marks the 100th anniversary since its completion, we would like to highlight the Tokoname craftsmen who took on the challenge of designing the lights and their skills.