六古窯について

旅する、千年、六古窯 火と人、土と人、水と人が出会った風景

日本人とやきものの関わりは縄文時代にさかのぼり、食糧の保存や調理などの生活用具や祭祀用具など、人間の営みに必要不可欠なものとして、文明を築き、分野を超えて、さまざまな文化を深めてきました。

「日本六古窯(にほんろっこよう)」は、古来の陶磁器窯のうち、中世から現在まで生産が続く代表的な6つの産地(越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前)の総称です。

1948年頃、古陶磁研究家・小山冨士夫氏によって命名され、2017年春、日本遺産に認定されました。
それを機に六市町*では、六古窯日本遺産活用協議会を発足。千年にわたり、各産地にて育まれてきた技術・文化を見つめ直し、また俯瞰した視点で、あらためて、六古窯の魅力を掘り下げています。

2018年春より始動する「旅する、千年、六古窯」は、“ やきもの”を通して、人間の根源的な営み、人と自然との関わり、ものづくりの根源を再考する取り組みです。
千年という時をかけて育まれてきた六つの産地にある「火と人、土と人、水と人が出会った風景」を通して、千年先の未来を思い描きたいと思います。

*六市町…
越前焼:福井県越前町 瀬戸焼:愛知県瀬戸市 常滑焼:愛知県常滑市
信楽焼:滋賀県甲賀市     丹波焼:兵庫県丹波篠山市     備前焼:岡山県備前市

越前焼[福井県越前町]

六古窯のなかで唯一、日本海に面し北陸の気候を伴う産地・越前。元は熊谷焼や織田焼などと呼ばれていたが、1947年に陶磁研究者・小山冨士夫が越前焼の名称を用いたことが由来。常滑窯の系譜にあたり、焼締や灰釉などによる素朴な作風を持つ。原料となる土は鉄分を多く含み耐火度も高く、良く焼き締まる赤色。代表的な生産品として越前赤瓦があり、その耐寒性から福井城跡、金沢城跡をはじめ越前以北日本海沿岸に広く流通している。

越前町商工観光課
〒916-0192 福井県丹生郡越前町西田中13-5-1
TEL 0778-34-8720

瀬戸焼[愛知県瀬戸市]

陶磁器一般を「瀬戸物(せともの)」と指すことからうかがえるように、古くから続く日本の陶都・瀬戸。鎌倉時代、中国でやきものの技術を学んだ加藤四郎左衛門景正が、瀬戸で開窯したことが瀬戸焼のはじまりとされているが、それ以前の平安時代の窯跡も残されている。平安時代末期から室町時代にかけては、六古窯のなかで唯一施釉陶器である「古瀬戸」を生産。江戸時代後期には磁器生産もはじまり、以降多種多様なやきものが生産されていき、日本屈指の窯業地として確立される。

瀬⼾市地域振興部ものづくり商業振興課
〒489-8701 愛知県瀬⼾市追分町64-1
TEL 0561-88-2807

常滑焼[愛知県常滑市]

海路を利用して東北から九州に至る日本各地に運ばれていた、六古窯最大の生産地・常滑。瀬戸と同じく猿投窯の系譜にあたるが、常滑焼は釉薬を用いない焼締という方法を用い大型の壺や甕を生産している。これらは轆轤を使わずつくり手が回りながら成形する「よりこ造り」による。明治時代になると、鉄道や下水の普及により、木型を用いた土管がつくられるようになった。また、江戸後期より中国の急須を模しつくられた朱泥の茶器は、現在も代表的な生産品のひとつ。

常滑市経済振興課
〒479-8610 愛知県常滑市飛香台3-3-5
TEL 0569-35-5111

信楽焼[滋賀県甲賀市]

琵琶湖の南方、周囲の山々にて豊かな原料を産し、古代より交通の要衝にあたる信楽。焼締陶器であり、備前焼同様に焼成によって生じる多様な景色が特徴。この地では、13世紀より常滑焼に影響を受けた大甕や壺を生産。15世紀には無釉焼締のすり鉢や壺、甕などの日常品も焼造していった。また、安土・桃山時代においては茶陶、19世紀頃より土瓶や火鉢、昭和20年代からタイルや建築用材など多様な製品を生産している。

甲賀市産業経済部商工労政課
〒529-8502 滋賀県甲賀市水口町水口6053
TEL 0748-69-2187

         

丹波焼[兵庫県丹波篠山市]

京都・大阪に近接する山間に現在も続くやきものの里・丹波篠山。平安時代末期からはじまった丹波焼は、常滑や越前窯と同じ窯の構造・製作法を備え、焼成時に掛った灰による自然釉(しぜんゆう)は、偶然のなせる見事な装飾である。中世には、甕や壺、すり鉢を主とし、江戸時代初期には、登窯(のぼりがま)、灰や鉄などの釉薬(ゆうやく)、ロクロ成形に転換。江戸後期には、白土を化粧や装飾に用いた白丹波と呼ばれる器が生まれた。時代の要請を敏感にとらえ、同じ技法を単に継承せず、生活に根ざしたやきものをつくりつづけてきた。

       

丹波篠山市 商工観光課
〒669-2397 兵庫県丹波篠山市北新町41
TEL 079-552-6907

備前焼[岡山県備前市]

6世紀頃より瀬戸内市内の邑久古窯跡群で連綿とつくられていた須恵器の生産が終わる平安時代後期、それに呼応するように伊部地域で生産が開始されるのが備前焼。中世後半、すり鉢など堅牢さが多くの需要を生み、さらには織豊期、焼締による素朴で簡素な風合いが多くの茶人に好まれた。釉薬を使わないことによって器表に表れるさまざまな「窯変」は、現在まで多くの愛好家を生んでいる。

備前市日本遺産・観光部日本遺産課
〒705-8602 岡山県備前市東片上126
TEL 0869-64-1885 / FAX 0863-64-1850

本サイトは、「旅する、千年、六古窯」プロジェクトの一環で発行されました。

主催:六古窯日本遺産活用協議会
          [福井県越前町、愛知県瀬戸市、愛知県常滑市、滋賀県甲賀市、兵庫県丹波篠山市、岡山県備前市]

六古窯日本遺産活用協議会クリエイティブ・ディレクター:
髙橋孝治

旅する、千年、六古窯 クリエイティブチーム:
アートディレクター/原田祐馬[UMA/design farm]
エディトリアルディレクター/多田智美[MUESUM]
Webディレクター/綿村健[FROTSQUARNEL CO.LTD.]
公式カメラマン/加藤晋平